
器を選ぶときから時間を掛けていると思ってみてはいかがですか?
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紅布着どんぶり鉢
漆器は取り扱いに気を遣うので、日用の食器には向かないと思われがちだ。そんな人にこそ使ってほしい、漆の丼鉢を紹介したい。木製だが堅く、頑丈で使用後は瀬戸物同様、中性洗剤とスポンジで洗うことができる。水切れもよく、布拭きの必要がない。収納時も、じかに重ね置きをしても支障はない。一般的な陶器の丼鉢と同じように使えるが、使い勝手が優る点が多々ある。まずは、その軽さだ。汁物などをたっぷりよそっても、器自体が軽いので重さを感じさせない。出し入れや持ち運びも軽やかにできる。木製品ゆえ、日常使いで割れ物扱いをせずに済むのも気楽だ。さらに、断熱性が高いため、料理が冷めにくい。器にも温度が伝わりにくく、持つ手にやさしい。『紅布着どんぶり鉢』の作り手である鈴武は、福島県会津地方で、昭和10年(1935)に創業。漆器製作では珍しく、木地作りから塗りまでを一貫して行なう工房だ。「色目が控えめな器に、器の余白を多めに盛りつけると、料理が引き立つものです。そこで、1人前の料理をゆったり7分目に盛れるように、やや大きめに作りました。深さを抑え、口径を大きくしたので、盛りつけもしやすいはずです」(塗師として工房を率いる、鈴木誠一郎さん)この丼鉢は、拭きと砥ぎを重ねる拭き漆の手法で、約1年をかけて手作りされる。純度の高い生漆を独自に調合し、布で漆をすり込む拭きと細かい紙やすりで凹凸を削る砥ぎを10数回も重ねる。こうすることで、料理を引き立てる艶を抑えた控えめな色味や、ジャブジャブと洗える堅牢さが生まれる。ありきたりの料理が、この丼鉢に盛りつけられると、ちょっとしたご馳走に見える。料理好きな鈴木さんによると、サラダや酢豚、おこわなどをよそい、楽しんでいるという。夏ならば、素麺に氷を浮かべても涼やかだ。修理にも末永く応じる。木製品なので電子レンジ、食器洗浄機、食器乾燥機は使用できない。(写真)初めに、底と縁に補強のための麻布を漆で張り、あえて隠さずに独特の意匠とした。数年、使い込むうちに下塗りの朱漆の作用で、色合いは暁の空のような赤みを増していく。
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